読取装置特許(特許6469758号等)に関するまとめ
administratorよく知られているレジに関する特許が実際に権利行使された事案についてまとめたものです。
特許に関する係争は多くの場合に表に出てきませんが、この事案は多くの情報が開示されており、特許庁や裁判所のホームぺージで審判や裁判の情報を調べることができたため情報をまとめました。出願戦略など知財業務について多くの示唆を含む事案といえます。
なお、この記事はnoteに6/5に掲載した以下の記事を再編成したものになります。
読取装置特許(特許6469758号等)の無効審判･訴訟、ビジネス、ライセンスに関するまとめ｜Patent & Marketing
↓のツイートで言った通りまとめてみました。 注意事項 どちらかというと弁理士とか弁理士試験受験生のような事案の研究（勉強）をしたい人向けで書いてるので…
注意事項
どちらかというと知財業界の人向けの記事のため、一般の方が面白半分で検索してヒットしないように社名等は本文中に書いていません。画像を参照しながら読んでください。それから時系列の整理を主な目的にしているため各審判等の内容は主文のような重要部分以外ほとんど読んでいません。
基本的に出典はある内容ですが必要に応じて推測も交えてして書いてます。その場合は注記します。
まずは権利関係の時系列
ポイント
・これやったのいつごろ？あれとどっちが先？みたいなことが分かりやすいように、2019年から2021年については3色で塗り分けてみました。結構わかりやすくなった気がします。次の表と並べて対応関係を見やすくするためという目的もあります。
・3世代の分割も合わせて出願は6件ありますが、審決取消訴訟に行ってるのは親出願だけです。
・Twitterで弁理士のしろさんにも指摘していただきましたが、孫出願３だけは審査に係属させておきながら他の分割出願はかなり早く成立させています(出願から24日～100日で登録)。
・無効審判は親出願から孫出願２まで全部で請求されています。請求人も被請求人も大変そうです。それだけお互い必死ともいえます（関連事項後述）。
・親出願は、審決取消訴訟に行ってる無効審判(審判記録①)だけでなく、異議申し立て(審判記録②)や別の無効審判(審判記録③)もあります。
・実は審決取消訴訟に行ってる無効審判はすでに上告受理申立てされていました(6/2)。担当されてる事務所さん的に最高裁には行きそうに思うものの、全部無効にできるかはわかりません（上述の通り審決と判決の内容をほとんど読んでないためです）。
・異議申し立ては審判記録①の無効審判の審理待ちで中止されているものの、別の無効審判(審判記録③)では、全ての請求項について特許無効の審決予告をしています。審決取消訴訟との関係もあり、こちらもどうなるかはわかりません。
次は、ビジネスとの関係
ポイント
・2018年のコンペで提案したけど採用されなかったそうで、そこで提示した発明を盗用された、と争ってる話のようです。
・侵害訴訟としては、2社に差止の仮処分の命令が申し立てられています。2社で申立てのタイミングも違います。
・出願代理人の事務所の人が本件訴訟対応のために株式会社を立ち上げて権利(特許を受ける権利と特許権)を譲り受けて戦うという複雑な状態になっています。
・権利者側(出願人、承継人いずれも)はいろいろリリースしているものの、無効審判の請求人側の方はほとんど情報を出していないようで温度差を感じました。
次は、ライセンス関係について推計
ポイント
・承継人のホームページでライセンス料が書いてあって計算してみました。こういうところだけ切り取られて変に拡散されても嫌なのでテキストで名前とかを出さないようにしていました。
・営業利益からすれば2%にも満たない額なのでどうにでもなりそうですが、権利は2037年まで持つわけでトータルだと数百億円のライセンス料の支払いが必要になることから、何億、何十億円かけようがこれら6件の特許を本気で潰そうとする気持ちも分かります。逆に、それだけの特許収入の可能性があると思えば、頑張って維持したい気持ちもわかります。
・上の図では書いてないですが、営業利益率が去年度で13%、今年上期で20%ほどありすごいと思います。このコロナ禍でも業績上がってるのもホントにすごいです。
・アパレルってそれほど利益率が高い業界ではないと思っていたのですけど、これだけ利益を出せる会社ならいろんな部分でがっちりしてるはずで、上記の2%を通すほど甘くはないだろうなとも思いました。
最後に、まとめとか感想とか
・急いで作った資料のため間違いがありましたらごめんなさい。参考情報として取り扱いください。
・情報収集のためにHPとか覗いてたら久しぶりに買いに行きたくなり最寄りの店舗に行ってみましたがレジは普通に稼働してまいました。
以上
