【プラパCSVクロス集計ツール】簡易スコアリング機能を追加しました
今回の記事では下の記事で紹介した標題ツールの追加機能について紹介します。
【プラパCSVクロス集計ツール】要約から課題・効果を抽出する機能を追加しました | patent & marketing (patent-and-marketing.com)
各種の商用DBには、独自のスコアリングをすることで重要な特許を分かりやすくしてスクリーニングの効率化を図ったり、スコアを集計することで技術の重要度や出願人ごとの特許価値を評価できるような機能があります。
今回は、標題ツールでもJ-PlatPatのCSVデータに含まれる情報をフル活用することでスコアリングをすることができるように改良しました。具体的には、文献種別、出願時を基準とした公開時期、登録・審判・延長登録出願番号、ステータス、及び、イベントの情報に適宜の重み付けをしたものを加算した合計値をスコアとして算出します。もちろん、重み付けには私の主観による部分もあり絶対に正確という指標であるとは言えませんが、以下の評価を含む複数の評価を行った結果として有意な評価ができているのではないかと考えています。
ということで、評価の一例としてオプジーボ特許で有名な小野薬品工業株式会社の出願について評価してみたので結果を示します。当初の計画では最大値として10点程度とするよう開発していました。しかし、延長登録出願や無効審判等の審判といった特許の価値を客観的に表す情報が利用可能であることがわかり、これらについては重み付けを高く設定すべきと考えて重み付けを設計したところ、これらの情報を含む特許等はかなり高いスコアになるようにできました。同社の場合では705点が最高になりました。製薬関係でない企業についても試してみましたが無効審判などがある場合でも30点程度が概ね最大となっています。
このツールでは、重要特許であることが推測される審判関連項目や延長登録出願については高い重み付けを設定したうえで各審判や延長登録出願の件数に重み付けを積算しています。このため、705点のような極めて高いスコアとなりました。
また、このツールには、別の記事で紹介したように、フィルタリング可能なデータリストシートがあります。また、このシートにはJ-PlatPatへのリンクも設けているので、リストをスコアの高い特許に絞りこむことで重要度の高い特許に絞り、それらについて簡易にJ-PlatPatできますので、重要な特許について詳細検討するような使い方もできるようになりました。
試しに、スコアが705点の特許第4361545号にアクセスしてみると延長登録出願が極めて多いことが分かります。
延長登録出願の件数を数えてみると87件もあることがわかり、突出したスコアになった理由も頷けます。
参考まで、この特許のリンクを以下に示すので興味があれば確認してみてください。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2006-340714/11/ja
特許の内容をみると以下のような抗体医薬に関する権利であることがわかります。
製薬分野ではビジネス上有効な特許で延長登録出願ができるものは最大限延長登録出願がされますが、今回のように延長登録出願などについては青天井で点数が伸びる設計としたことで、より重要な特許は高いスコアにでき、スコアで識別しやすくすることができました。
もちろん、無効審判が複数回請求された特許なども高いスコアになるようにしているので、製薬分野以外の企業などの特許であっても重要な特許を適切に抽出できることが確認できました。
以上のとおり、J-PlatPatのCSVデータだけでも有益なスコアリングができそうに感じました。弊所では、国内外の特許について専用のDBから情報を収集し価値評価や技術的な観点からスコアリングを行い定量的な分析を行う体制を整えています。また、今回のツールのように誰でも気軽に利用できるようなスコアリングツールの提供も可能です。
今回の記事は以上です。
本記事のツールやスコアリングなどについてお問い合わせなどありましたら右上のリンクから管理人の特許事務所のホームページにアクセスしていただき、お知らせいただければと思います。