特許分類バブルマップでトヨタ自動車の特許を俯瞰する
佐藤総合特許事務所の弁理士 佐藤です。
今回は、簡易特許分析記事の第3回でお披露目した「特許分類バブルマップ」を用いてトヨタ自動車の特許を俯瞰した例について紹介したいと思います。
この記事は事務所HPのブログで掲載した記事の補足的な内容を説明しますので、元の記事も読んでいただけると嬉しいです。
今回の分析対象は、トヨタ自動車が日本に特許出願した直近の約5年分で約3万件ですが、これらの出願に付与された付与数上位1000件の分類記号についてマップ化し出力したそのままのデータが下図になります。
この図では、各バブルのラベルとして、それぞれのバブルの分類記号の説明を頭から4字だけ示しています。
自分も含め知財の専門家であればこのような図からでもいろいろ分かると思いますし、知財部や技術部門の担当者が検討するのに用いるのであればよいのですが、経営層に見せるのは詳細すぎます。
そこで、ラベルを非表示にしたマップを作り直しパワーポイントに貼り付け、付与数上位のサブクラスの説明を見ながら簡単な説明を付けたものが下の図になります(事務所HPのブログ記事で掲載した画像です)。
この図では、凡例のデザインにかなりこだわっており、最小限の要素で必要な情報を示すことができるように工夫しました。
また、サブクラスレベルの説明をかみ砕いて短く分かりやすくしたラベルを位置に付けており、この程度まで情報量を減らせば経営層への説明資料としても使えるのではないかと思います。また、手作業で説明文を入れているため文字色なども自由に変更できることから、文字色や文字サイズなどで意図を込めることもできます。
それから、このツールはエクセルで作っているため、上述したグラフを表示している右側のエリアには、下図に示すように、マップと連動させた表形式の簡易分析機能も付けています。上図も、この表を見ながらバブルのラベルを作成しました。
この簡易分析機能の表では、分類記号のセルとバブルの色とを対応させセクションごとに決めた色にしているため、グラフのバブルと表の分類記号との対応関係も分かりやすいですし、この表の中でもクラス、サブクラス、サブグループの対応関係も分かりやすく示せていると思います。
また、このツールはいろいろなカスタマイズ機能があるのですが、一部の分類だけを取り出してグラフに表示することもできます ( 事務所HPのブログ記事で掲載した画像です ) 。
下図では、同社の動向としてよく話題に上がる「電池」に関する「H01M」だけを表示するようにしています。
このように一部の分野に限って表示することでグラフの面を広く使うことができ、より詳細な内容について拡大して確認することができます。
なお、上図でも説明していますが、分類記号のうち「H01M」の部分を省きメイングループとサブグループを示す文字列だけを示すようにしているので、図中にH01Mの文字がバブルの数だけ並ぶようなことはなく、分類記号の必要な部分とその説明の一部のような組み合わせでラベルを分かりやすく表示できていると思います。
その他、グラフの調整機能も多数ありますし、何よりエクセルベースで作っているので改変もできます。